岡崎市の遺産相続と相続税の申告の方法をやさしく解説 不動産から税理士の選び方まで

相続に強い税理士を探す

相続に強い税理士を探す

はじめての相続、何から始める?

身内の不幸という予想外の出来事のなかで残された家族が向き合う必要があるのが相続です。

悲しみが癒える間もなく、段取りや準備、家族同士の調整に忙殺されるという人が岡崎市でもよく見られます。

相続には法律や相続税などの専門的な知識が必要不可欠なうえに、判断を先延ばしにすると思いがけない問題に発展する可能性もあります。

だからこそ相続の始め方を先に把握しておくことが重要になります。

このページでは相続の初歩から相続税制度、トラブルの予防策、生前の備え、岡崎市での専門家の活用を含めて紹介しています。

「まだ先のことだから」「うちはそんなに財産がないから」と感じている人であっても、ぜひご覧いただきたい内容です。

相続全体を知ることが必要

「相続」と言ってもその中身は幅広いです。

誰が継承するのか(法定相続人)何を相続するのか(遺産の種類)どう分けるのか(遺産分割)税負担はどれくらいか(相続税)など、といったように多様な問題が絡み合っています。

まず押さえておくべきなのは相続には開始から期限までのタイムラインがあるということです。

たとえば岡崎市においても相続税の手続きは被相続人(亡くなった方)が亡くなってから10か月以内と定められています。

さらに相続放棄や限定承認という手段も基本的には3か月以内に手続きを取る必要があります。

戸籍謄本や財産目録の取得、金融機関や法務局への届出など、多くの手続きを並行して進めなければならないため、基礎知識がないと混乱しやすいのが実情です。

近年では少子化・高齢化・非婚化の影響で相続する人たちの関係が複雑化しやすくなっており、「相続は争いに発展しやすい」とまで言われるほどトラブルの温床にもなっています。

こうした状況を考慮すると「うちには関係ない」と思っていても、実際にその時が来たときにトラブルを避けるための準備は誰もがしておくべきことです。

正しい情報を事前に知っておくことが、混乱なく相続を進める最初の準備と言えるのです。

相続人の確認と相続財産の調査

相続手続きを進めるうえでまず最初に行うべきことは「誰が遺産を受け継ぐのか」を確認することです。

民法では配偶者は常に含まれ、それ以外に血縁関係に応じた順位が定められています。

相続順位は以下のとおりです:

  • 第1順位:子ども
  • 第2順位:父母
  • 第3順位:兄妹

仮に亡くなった人に子がいるなら、親や兄弟姉妹には相続権がありません。

子どもがいなければ父母が相続することになり、親もいない場合は兄弟姉妹へと権利が移っていきます。

養子および認知された子どももまた法定相続人であるため、戸籍の確認は非常に重要です。

したがって手続きの初めとして被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて集める必要があります。

この手続きは岡崎市の役場で請求できますが、昔の戸籍(いわゆる「改製原戸籍」)などが含まれる場合、複数の市町村をまたいで取得しなければならないこともあります。

誰が相続人か確定したら、次は「何を相続するのか」つまり相続する財産を調べる作業です。

  • 口座残高・株式といった金融財産
  • 自動車や貴金属、骨董品などといった動産

特に注意したいのがマイナスの財産も全て相続対象に含まれるという点です。

負債が多額であれば相続を放棄するか限定承認を行うことが岡崎市でも必要不可欠です。

財産の調査には金融機関との手続きや契約書の確認が求められ、非常に労力と時間がかかる作業になります。

リスト化してまとめておくと今後の手続きがスムーズです。

遺産分割・名義の書き換え・相続税の届け出の全体の流れ

相続人と財産の全体の状況が分かってきたら、次は配分のステップに進みます。

このステップでは、相続人の全員で「遺産分割協議」を行い、話し合いの結果を「遺産分割協議書」にまとめることが必要になります。

この文書には、どの相続人がどの財産をどう引き継ぐかを具体的に記載し、相続人全員のサイン・印鑑・印鑑証明書を添える必要があります。

この協議書はその後の名義書き換えや相続税申告のもとになる不可欠な文書です。

財産分けが終わったら、次に行うのが名義変更手続きです。

次に挙げるのは主な手続きのサンプルです:

  • 不動産登記の変更:法務局で登記変更を申請
  • 預金の相続手続き:各金融機関へ申請
  • 株の名義変更:証券会社へ申請

これらの手続きは、相続人が一人で行うことはできず、全員の合意が必要となります。

不動産の相続に関する登記では、近年の法制度の改定により、義務化(2024年4月から)と定められており、違反すると罰金が課されるおそれもあります。

忘れてはならないのが相続税の申告です。

相続税の申告・納付期限は「相続の発生(相続人死亡日)」から10か月以内と決められています。

仮に申告すべき財産がなくても、配偶者に対する税額控除などや小規模住宅用地の特例の適用を受けるには申告手続きが必要なこともあるので留意が必要です。

このように、相続の一連の手続きは想像以上に複雑です。

相続人同士が円満でも、対処が遅れると予期せぬトラブルに至る場合もあるため、スケジュールを明確に把握し、先手を打つのが岡崎市でも大切です。

相続税はいくらかかるの?課税対象と計算方法

相続についてのお悩みの中でも、岡崎市でも大勢の方が気になるのが「相続税はいくらかかるのか?」という点です。

端的に言えば、相続税は財産の規模や相続人の構成によって大きく左右されるゆえに、一律ではありません。

中には課税されないケースもあります。

ここでは、税金が必要かどうかを見極めるための基礎控除の内容や、実際の計算方法、税率、そのうえで税負担を軽減できる控除制度などについて詳細に解説します。

相続税の基礎控除と課税ラインの確認

相続税がかかるかどうかは、はじめに「基礎控除額を超えるかどうか」で判断されます。

基礎控除とは、基準額までの相続した財産には課税されないという制度で、以下の計算式で求められます。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

たとえば、配偶者と2人の子が法定相続人に該当する場合、法定相続人は3人ですから、

3,000万円+600万円×3人=4,800万円

この場合は、トータルの財産が4800万円を下回れば非課税となることになります。

土地や建物などの預金などの資産の評価額が課税ラインを上回っているかをチェックすることが、はじめにすべきことです。

なお、人数のカウントには放棄した相続人も数えるので、注意が必要です。

相続税の税率と現実的な試算

基礎控除額をオーバーした部分に対して、税金がかかってきます。

その課税率は、課税対象の遺産総額に応じて10%〜55%までの累進課税となっています。

次に示すのは相続税の速算表の一部です:

課税価格(法定相続分)税率控除額
1,000万円以下10%0円
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

一例として、控除後の課税される相続財産が6000万円の場合、配偶者と1人の子どもとの2人で等しく分けると、1人あたり3,000万円。

税率15%、控除額50万円が適用され、各人の税額は400万円(=450万−50万)になります。

一方で、妻や夫などの配偶者や18歳未満の子どもには特別な控除が認められるケースもあり、最終的な納税額はここからさらに低くなることが一般的です。

配偶者控除・未成年控除・障害を持つ方の控除などの税制上の特例

相続にかかる税金の負担を軽減するために、一定の条件を満たす相続人には特別控除が適用されます

よく使われる例を紹介します。

■ 配偶者の税額軽減(相続税の配偶者控除)

配偶者が取得した相続財産については、1億6,000万円もしくは法定相続分のどちらか高い方まで、課税されないという制度です。

この措置は、夫婦間での財産の相続に関しての配慮によるものであり、大きな優遇措置です。

■ 未成年者控除

未成年の相続人が相続に関与する場合には、満20歳になるまでの達するまでの期間、年10万円ずつが相続税から控除されます。

たとえば15歳であれば、10万円×5年で50万円の減額が可能です。

■ 障害者控除

障害を持つ相続者に関しては、85歳に到達するまでの年数、1年あたり10万円(特別障害者は20万円)が控除されます。

年数の計算には1年未満切り上げも認められます。

これらの控除制度は申告によって適用されるため、「非課税だから申告は不要」と思い込んでいると損になる事例が岡崎市でもあります。

なかでも配偶者控除は申告しないと適用されないため、相続税の申告義務がないと判断しても、特例を活用する場合は申告が必須です。

資産価値の計算方法や生命保険の非課税枠(法定相続人1人あたり500万円)などのように、税金の支払いを減らすさまざまな仕組みが設けられているゆえに、可能な限り早い段階で概要を把握し、対応を考えることが大切です。

岡崎市での相続でトラブルになるパターンと予防法

「我が家は兄弟仲がいいから、相続問題は起きないと思う」と考える方は珍しくありません。

しかし実際には、相続の問題から兄弟姉妹間に亀裂が入り、関係が断絶する事例は岡崎市でも頻発しています。

相続を巡る揉め事の主な原因は、相続財産の分け方情報伝達の不備さらに意思疎通の不足がもとになっています。

以下では、実際の揉め事の事例と、それを未然に防ぐための対策を紹介します。

相続協議の対立・兄弟姉妹間の不満

よくある典型的な相続トラブルは、遺産の分配を巡る対立です。

被相続人が遺書を残さなかった場合、相続に関わる人たち全員で「どの相続人が、何を、どの割合で受け取るのか」を相談して決めなければなりません。

ただし、次のような要因があると、納得できない気持ちから感情のもつれに発展することがあります。

  • 第一子が親と同居し、親の世話をしていたが、貢献が考慮されない
  • ある子どもだけが金銭的援助を受けていた
  • 相続対象の財産が不動産が主体で、平等に分割しにくい

とりわけ不動産を含む場合には、現金化して等分する「換価分割」がうまくいかない場合は、共有財産になってしまい全員の同意が求められ、対応が長期化・複雑化する場合もあります。

「決められた割合で分ければ大丈夫」と思う人が多いですが、現実には人の気持ちや過去の経緯が関係して、すぐには話がまとまらないことが岡崎市でもよくあります。

遺言がないときに生じやすい揉めごと

書面による遺言がない相続では、「どのくらいの相続を受けられるのか」「財産の振り分けは誰にどうなるのか」このような協議が一から始まります。

ゆえに、相続人の意見が対立しやすく、合意が得られないという事態になります。

特に、次のようなケースは要注意です。

  • 亡くなった後で、遺言書の有無を巡って話が分かれる
  • 親族間の付き合いがなくて、連絡すら取りづらい
  • 認知症を患う親と同居していた家族が金銭を扱っていたが、不透明な支出がある

このようなケースでは、家裁での調停や判断に進展する可能性が生じます。

相続が揉めごとの原因になるとは、こうした要因によって来ているのです。

再婚・事実婚・非嫡出子などの家族構成の変化により、法律で決められた相続人の範囲や相続する割合に関する理解が乏しいことがトラブルを引き起こすケースが岡崎市でも増加しています。

相続争いを防ぐための遺言書の有効活用

これらのトラブルを未然に防ぐ一番確実な方法は、「遺言書を残すこと」になります。

遺言書があることで、相続人間の話し合いではなく、故人の意向に従って財産を振り分けるという対応ができます。

遺言書には主に次の2形式があります:

■ 自筆証書遺言

被相続人が全体を自分の手で書く方式。

令和2年からは法務省管轄での保管制度がスタートし、検認が不要になったことから、気軽に使えるようになり紛争も減少傾向です。

■ 公正証書遺言

公証人の前で公的な立場の公証人によって書かれる正式な遺言。

書き方の間違いで効力が否定される可能性が低く、法的な安全性が高いのがメリットです。

遺言を残す場合は、「誰に何をどのくらい渡すのか」を具体的に明記むし、気遣いの言葉を添えることが重要です。

また、遺留分に気をつけることもおろそかにしてはいけません。

遺留分とは、妻や夫、子どもといった一定の法定の相続人に認められている最低限必要な相続分を指し、この遺留分を侵害すると「遺留分侵害額請求」につながる可能性があります。

遺言書の作成にあたっては、士業の専門家(弁護士・司法書士・行政書士)のアドバイスを受けることが望ましいといえます。

スムーズな良好な相続のためには、法律的な正当性ならびに気持ちへの配慮の両方が求められます。

岡崎市での不動産がある相続の注意点

岡崎市でも、特に問題や手続きの面倒さが顕著なのが「不動産」になります。

不動産(土地・建物)は評価の仕方もわかりづらく、現金のように分けることもできません。

不動産を相続するには専門家レベルの知識と冷静な対処が不可欠です。

ここでは、不動産が関係する相続において注意すべき点や新しい法制度や遺産の分け方のバリエーションについて紹介します。

共有名義によるトラブル

相続手続きの中でいったん兄弟で不動産を共同で所有しようという考えはかなりリスクが高いです。

共有の名義とは、一件の不動産を複数人で共同所有する状態となりますが、この方式にはさまざまなリスクが伴います。

  • 不動産を売ったり貸したりするたびに共有者全員の同意が必要
  • 修繕・固定資産税の負担割合でもめやすい
  • 将来また相続されると、共有名義の継承が繰り返されて所有者関係が錯綜し

実務上も「処分が進まない土地」「利用したいのに使えない」こうした事例の多くは、名義の共有が原因です。

関係性の薄い親族や疎遠な関係の兄弟との共有関係となるケースでは、話し合いすらできないまま解決できずに放置されることも。

結果として、住まない家・維持不能・税金の負担増など、といった法的・経済的な問題へと発展する恐れがあります。

相続登記の義務化とは?

2024年4月から、不動産の承継に関して大きな法改正が施行されました。

それが、「相続登記の義務化」です。

以前は相続に伴う不動産登記(相続登記)は任意の対応でしたが、今後は義務となり、違反すれば罰則が科されます。

■ 義務化の概要

  • 相続が発生し相続人の確定から3年以内に登記を行う義務が生じます
  • 正当な事情がないまま申請をしなかった場合、10万円以下の罰金が科される可能性があります

この法改正の背景には、持ち主不明の土地の増加という社会問題があります。

登記手続をせずにそのままの土地や建物が、インフラ整備の障害になったり、防災上のリスクになったりしているためです。

登記を放置することはもうできないということです。

加えて、相続関係一覧図の作成を活用すると、登記手続きや金融機関での相続手続きが簡素化されます。

この一覧図は法務局でタダで取得できる有用な資料ですから、同時に手に入れておくと便利です。

売却・分筆・換価分割などの方法

不動産の相続で重要な問題となるのが、「どう分けるか」という課題です。

土地や建物は物理的に分割できないため、以下のような手段が採用されることがあります。

■ 売却(換価分割)

不動産をみんなで処分して、換価した金額を分ける手段です。

不満が出にくいだけでなく、現金に変えることで納税にまわせるという恩恵があります。

もっとも、全ての共有者の同意が必要であり、タイミングや値段で争いが起きることがあるので、合意形成が大切です。

■ 分筆(ぶんぴつ)

面積の大きな土地を区切って、各相続人がそれぞれが所有する方法です。

この方法によって、共同所有を回避できるものの、地形や法規制の条件によっては分割できないこともあります。

分筆したあとで「アクセスが遮断される」「新築が不可になる」などのトラブルが起こる可能性があるので、先に行政機関や土地家屋調査士への相談が必要となります。

■ 代償分割

不動産を一人が引き継ぎ、他の家族に現金で「代償金」を支払う方法です。

たとえば、長男が家を受け継ぎ、次男に同じ価値の金額を渡すというスタイルです。

この手段は、所有権を維持しつつバランスの取れた相続ができるという利点があります。が、代償金を払う人の経済力が必要になるため、しっかりとした判断が必要です。

不動産資産は一概に所有財産の一部にとどまらず、暮らしの場であり記憶が染み込んだ場所という面もあります。

そのため、感情の対立を招きやすく、問題が起きやすいのが現実です。

スムーズな相続を実現するためには、相続が発生する前に資産価値や所有名義、今後の利用や売却方針を家族間で話し合っておくことが最も重要です。

相続税の対策は岡崎市でも生前からやっておくのがコツ

相続税は、被相続人が死亡した時点で、その財産にかかる税金しかし、現実的な相続税対策は「生前」に始めることが重要です。

相続が始まってからでは取れる手段は少なく、大きな節税効果が見込める手法も使えなくなるためです。

ここでは、相続税負担を軽減するために知っておきたい生きている間の対策について、主要な方法や注意点をわかりやすく紹介していきます。

生前贈与の利用法とリスク

相続に備えた方法としてまず検討されるのが「生前贈与」です。

亡くなる前に所有財産を計画的に子や孫に移すことで、死亡時の遺産額を減らし、その結果相続税負担の対象額を下げることが可能となります。

特に岡崎市でも多くの人に使われているのが、「暦年贈与」と呼ばれる制度です。

■暦年贈与

贈与にかかる税金には1年あたりの非課税限度が決められていて、1人あたり年間110万円までは非課税となると定められています。

この非課税枠を使い、毎年少しずつお金や財産を移転することで、時間をかけて大きく税金を減らすことが可能です。

例としては、3人の子に毎年110万円を継続して渡すと10年にわたり継続すれば、110万円 × 3人 × 10年 = 3,300万円を非課税で移転できます。

贈与を行う際に気をつけたい点は以下の注意点です:

  • 贈与契約書を作成して「贈与の記録」を残す
  • 口座や印鑑は贈与を受けた本人名義で管理させる
  • 名義預金(名義は子や孫でも実際の管理者は親である)と見なされないようにする
税務署側は実質的な内容に基づいて贈与に課税を行うため、、形式的な操作では節税効果は得られません。

「贈与したという事実を証明できるか」がカギです。

不動産の価値を下げて節税するには?

相続で引き継ぐ財産の中で多くの割合を占めるのが不動産です。

【地域名】においても不動産は評価の基準により相続税額に大きな違いが生じるため、節税対策として不動産を活用する対策が多く存在します。

代表的な手段として、「賃貸住宅を建てる」といった方法です。

たとえば、現金で1億円かけて賃貸アパートを建てると、その資産評価額は建築費よりも低くなります。

さらに、土地の価値評価も貸家建付地扱いとなり、一定の評価減が認められます。

結果として、相続財産の評価額が大きく下がり、課税額が抑えられるという制度です。

一方で、留意点もあります。

  • 空室リスクや改修費などの管理上のリスクがある
  • 初期コストに見合った利益が確保できるかを検討することが求められる
  • 不動産の分割が難しく、相続人間の争いの種になりやすい

ゆえに、税金対策だけを狙った不動産の購入行為は熟慮して決断することが望ましいです。

可能であれば、将来的な分割の仕方や収益見込みも踏まえて、専門家に相談しつつ進めるのが理想的です。

相続時精算課税制度と暦年贈与の使い分け

生前に贈与する方法には、暦年贈与以外にも「相続時精算課税制度」という方法もあります。

この制度は2,500万円までの贈与が非課税となる制度で、活用の工夫次第で非常に有効です。

■ 相続時精算課税制度の特徴

  • 贈与する人は60歳以上の親や祖父母で、贈与を受ける人は18歳以上の子や孫のみ対象となる
  • 一度選んでしまうと、後から暦年贈与に切り替えられない
  • 将来の相続時に渡した財産を相続財産に計上して再計算し、相続税を精算

つまり、この仕組みを利用することで将来の相続税の計算に含めることを前提に、先に財産を贈与できるという仕組みです。

活用する例としては、教育のための資金提供や住宅取得資金の贈与など、といった大きなお金が必要な場面で有効です。

とりわけ、今後価値が上がる見込みのある不動産や株といったものを先に譲渡することで、含み益が小さいうちに評価を確定させ、相続税の負担を軽減するのがメリットです。

しかしながら、この仕組みを使うには贈与税の届け出が不可欠で、制度が少し難解であるため税理士などの助けを得て進めるのが安全です。

こうした形で相続税の対策は「財産をどうやって減らすか」だけでなく「どう評価されるか」「どのタイミングで、誰に渡すか」というような観点も大切です。

とりわけ大切なのは早いうちに動くことが有効な対策と節税の効果を高める要因です。

遺言書の種類と法的効力|書き方や注意事項

相続の揉め事を事前に防ぎ、残された家族が混乱しないように、もっとも効果的なのが「遺言書の作成」になります。

遺言書があることで遺産の割り方や相続手続きがスムーズで、争いを未然に防ぐことが可能です。

遺言書には種類がありそれぞれ作成方法や法的効力が異なります。

ここでは遺言の基礎的な内容から作成時に気をつけたい点まで、実際の運用を踏まえてわかりやすくご紹介します。

自筆証書遺言と公正証書遺言の違い

遺言書にはさまざまな種類がありますが、岡崎市においても多く利用されているのが次の2種類です。

■ 自筆証書遺言

自筆証書遺言は、自分自身が自らすべて記述して作成できる、手軽に残せる遺言書です。

費用なしで、いつでも即時に対応できるという利点があります。

反面欠点も多く存在します。

  • 中身に誤りがあると認められないリスクがある
  • 記載された遺言書が所在不明になる、もしくは書き換えられるおそれがある
  • 相続が発生したあとに検認という手続きが家庭裁判所で必要

とくにこの検認には、相続人全体への通知が必要となるため、遺言の存在を伏せたい場合には不向きといえます。

2020年より法務局による遺言保管制度が施行され、法務局に預ければ家庭裁判所での検認が不要になり、信頼性も増します。

費用は数千円程度と負担が小さく、この仕組みを使うケースが増えてきています

■ 公正証書遺言

公正証書遺言は、公証人が作成に関与する正式な遺言書になります。

公証役場で2名以上の証人の確認のもと、内容を言葉で伝えるあるいは原稿を提示して、それをもとに文書化してもらいます。

主なメリットは次のようになります:

  • 書き方の不備によって効力を失う恐れがない
  • 公的機関が原本を保管するため、紛失や改ざんの心配がない
  • 裁判所での検認手続が不要

公正証書遺言の費用は内容や財産額で違いはありますが、5〜10万円程度で作成できるケースが岡崎市でも一般的です。

配慮すべき内容が多いときや、相続人の人数が多い場合には公証人関与の遺言が確実です。

法改正による自筆証書遺言の保管制度の内容とは?

2020年7月からスタートした「自筆証書遺言書保管制度」は、自筆証書遺言の大きな欠点だった紛失や見つからない、改ざんのリスクを減らす仕組みです。

法務局へ遺言書を預けることで次のような利点が得られます:

  • 検認手続きが必要なくなる
  • 全国どこからでもアクセスできる
  • 相続人が早期に内容を把握できる

料金は1枚あたり3,900円。

申請時には身元の確認が行われ、生存中の本人にしか申請できない制度です。

特別な証人は不要で、遺言の内容も非公開にできます。

ただし、内容の合法性や整合性まではチェックされないため、法的に有効な遺言書であるかどうかは、やはり専門家の確認を得たほうが確実です。

遺言書作成時の一般的なミスや失敗例

遺言書は、「書けばそれでよい」というわけにはいきません。

以下のようなミスがあると、せっかくの遺言書が使えないか、逆に争いの原因になることもあります。

■ 財産の記載があいまい

「預金を長男に相続させる」と書いてあっても、どの支店の具体的にどの口座かが明示されていなければ有効と認められないおそれがあります。

■ 相続人の氏名が不正確

「次男に」とだけ書くと、同じ名前の該当者が複数存在する際に争いの原因になります。

氏名・生年月日などで明記するのが鉄則です。

■ 法定相続人の遺留分を侵害

遺言によってすべての資産を一部の人に与える内容にした場合、残りの相続人が「遺留分侵害額請求」を申し立てる恐れがあります。

遺留分の考慮は遺言作成において不可欠です。

■ 日付や署名がない

遺言書には作成日と署名・押印が絶対に必要になります。

これがないと、形式不備として受け入れられない可能性があります。

以上を踏まえると、遺言書を用意するには「個人的な考え」だけでなく法的要件と実行性を併せて考慮する必要があります。

気持ちや意向がしっかり伝わるように、専門家である税理士・弁護士・司法書士などの専門家とともに作成することを強く推奨します。

相続放棄・限定承認|借金があるときの選択肢

相続というと、「財産が得られる」という良い印象と考える方もいるでしょう。

けれども現実には債務などの「マイナスの財産」も受け継ぐことになります

相続される財産がプラス分を上回って負債の方が多い、あるいは、その可能性があるという場合、「相続放棄」や「限定承認」という対処法を取ることができます。

これらの方法を理解していれば余計な借金を背負うリスクを免れることができます。

相続放棄とは?家庭裁判所での申請方法

相続放棄という制度は、財産を受け取る人が一切の権利・義務を放棄し相続を拒否するということを意思表示する制度になります。

これは、「マイナスの財産が多い」「財産関係に関わりたくない」というような時に効果的です。

相続放棄の主な特徴は次の通りです:

  • 最初から相続人でなかったことになる(相続の権利が消える)
  • 残る相続人の分配が増える
  • 放棄したら取り消せない

■ 手続きの流れ

相続放棄をするには家庭裁判所に申し立てることが必要です。

申述書に記入したうえで必要な書類(被相続人の戸籍や自分の戸籍など)を添付して提出します。

特に重要なのは相続の開始(被相続人の死亡)を知った日から3ヶ月以内に申述を済ませること。

これを「熟慮期間」と呼び、この間に手続きをしないと、自動的に相続を受け入れたことになることになります。

限定承認のメリットと手間のバランス

相続放棄と共通点があるが別の制度として、「限定承認」があります。

この手段はプラスの遺産の範囲内で借金を引き継ぐという仕組みです。

つまり、借金があっても、相続財産以上の支払い義務は負わないという仕組みです。

たとえば、遺産に500万円の資産があり700万円の債務がある場合、限定承認を利用すれば最大でも500万円までしか返済責任が発生せず、自腹で200万円を負担する必要はありません。

■ 限定承認の特徴

  • 相続人全員で共同申述しなければならない(1人だけでは不可)
  • 相続放棄と同じく、3か月のうちに家庭裁判所へ申述
  • 財産内容の記録や公告の手続など処理が面倒
  • 原則として申述後の撤回は認められない

ややこしいため岡崎市でも税理士や弁護士の助けを借りることが多いです。

とくに相続財産の中に家や土地などの不動産や非公開株など価値の判断が難しい資産がある場合は評価を間違えると思わぬ負担が生まれるおそれもあります。

放棄を決めるタイミングと3ヶ月ルールの注意点

放棄の手続きをする場合や限定承認をする際、3ヶ月以内に判断することがもっとも重要な点です。

とは言っても相続財産の全貌がすぐには見えないこともよくあることです。

こうした場合に使える制度が「熟慮期間の伸長申立て」という方法です。

家裁に申請をすれば3ヶ月の熟慮期間を伸ばすことが認められます。

あわせて次の点にも配慮が求められます:

  • 故人の銀行口座からお金を引き出す
  • 故人の持ち物を勝手に売却する
  • 債務の一部を支払う

このような行為は「単純承認」と見なされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。

放棄を判断する前に資産を処分しないという姿勢がとても大切です。

誰かが放棄した場合次に権利がある人(兄弟姉妹・甥姪)に相続権が移ることにも注意しましょう。

自分が辞退すれば、すべて終わるわけではなく、次の相続人にも正確な情報を伝える心配りが必要です。

このように、相続放棄や限定承認は遺産を継がないための強力な選択肢ですが、期間ややり方に細かいルールがあり、失敗すると重大なリスクを負うリスクもあります。

相続対象の財産に借金が含まれていそうなときや、内容が不明確なときは、速やかに税理士や弁護士に相談し申述方法を整理しておくことが必要です。

岡崎市での相続で税理士などに相談するタイミングと選び方

相続には、戸籍の収集、財産の調査、分割の話し合い、名義の変更手続き、税金の申告など、多数の手続きが必要となります。

しかも各分野ごとに対応すべき内容が異なり、法務・税金・登記手続き・感情面の対応に至るまで多方面の対応が必要です

そこで欠かせないのが、「どの時点で」「どの専門家に」相談するかを意識しておくことです。

ここでは、関与する専門家の種類と役割、相談すべき時期、選ぶときのポイントをしっかり説明します。

税理士と司法書士と弁護士の違い

相続手続きの相談といっても、依頼先の違いによって専門分野が違います

登場するのは主に、税理士や司法書士、弁護士の3職種です。

それぞれの役割は次のように整理可能です。

■ 税理士:税務面のスペシャリスト

  • 相続税発生有無の判定
  • 相続税書類の作成と提出
  • 生前贈与・不動産評価・納税資金対策などの節税アドバイス

相続税がかかるかもしれないときは、できるだけ早く税理士にあらかじめ相談すれば余計な税負担を回避できます。

土地の査定や上場していない株式の評価も含め、複雑な計算が必要になる場面では必要不可欠です。

■ 司法書士:名義変更と手続きのスペシャリスト

  • 相続登記の申請手続き
  • 相続情報一覧図の作成手伝い
  • 相続関係調査・戸籍集め・協議書作成

2024年の制度改正にともない登記の義務化が進み、司法書士の職務はますます重要になっています。

手続きの流れがわからない方や、名義の手続きに不安を感じる方にとってとても心強い存在です。

■ 弁護士:遺産分割や相続トラブルの解決に強い

  • 相続人間で争いが起きたときの話し合いの代理・調停による解決・訴訟手続き
  • 遺留分侵害額請求や遺言の有効性に関する争い対応
  • 遺言の実行者としての対応

遺産の分け方の話し合いが合意に至らない場合や、兄弟で揉めているような場合においては、弁護士のサポートが必要です。

法律家の視点から冷静に整理し、解決策を提示してくれます。

「誰に・いつ・何を」相談すべきか

相続に強い専門家に相談するタイミングは、直面している課題によって左右されます。

以下を目安にしてください。

■ 相続開始後すぐのタイミング(1ヶ月以内)

  • 死亡届の提出や葬儀が終わった段階で、相続人と財産の把握を始める
  • 税理士や司法書士に依頼すれば、戸籍関係書類の集めやスムーズに相続人を確定できる

■ 相続税が必要かどうか確認したいとき(〜3ヶ月)

  • 財産の総額が基礎控除額を超える見込みがある場合は、税理士に早期相談
  • 生前に贈与された財産や名義預金があるかどうかも含めて、課税の可能性を診断してもらうことが大切です。

■ 相続人と争う可能性があるとき(随時)

  • 遺産をめぐる当事者間で主張が食い違いそうなとき、感情が絡んで解決が難しい場合は弁護士に頼る
  • 家庭裁判所での調停や裁判になりそうなときには、弁護士のサポートが必要です

無料相談と顧問契約の適切な利用

岡崎市でもまた専門家の多くは、はじめの相談を無料で実施しています。

税理士事務所などでは、税額の計算の無料相談によって、今後の展開を決定することが可能です。

以下のようなケースでは、継続的な顧問契約や委任契約が向いています:

  • 遺産分割協議書の作成業務や相続登記をまとめて依頼したい
  • 複雑な不動産評価や非上場株の計算が必要
  • トラブル対応で相手方との話し合いや家庭裁判所での調停が予想される

専門家選定のポイントとしては、相続に強いかどうかは必ず見極めてください。

同じ税理士や司法書士でも、強みのある分野が人によって違うため、経歴やレビュー、加入団体を確認すると安心です。

岡崎市での相続で後悔しないために今できること

相続は、誰にとっても避けることができない家族関係の区切りにあたります。

財産を持っているかどうかにかかわらず、きちんとした準備や理解があるかで、遺された家族の精神的・物理的負担が大きく変わります

これまでの章では、相続の初歩的な知識から必要な申請手続き、税務対応、紛争回避策、専門家の利用までを解説してきました。

ここからは、これまでの内容を受けて、「今、何をすべきか」という観点から、実際に取り組める具体策をまとめます。

家族間の対話から始めよう

相続を円滑に進行させるための一番初めにすべきことは、家族で話し合うことになります。

これは、相続財産の額や相続税があるかどうかは関係ありません。

かえって、相続対象が少額な場合ほど、公平さへの不満から感情的な衝突が起こりやすいという傾向があります。

話しておくべき項目の例:

  • どの資産を誰が受け取るのか、希望しているかどうか
  • 住宅を誰が持つか、売却の希望があるか
  • 生前贈与や支援の有無と、他の相続者への気配り
  • 将来の認知症や介護への備えとしての費用負担と役割

とりわけ親がしっかりしているうちに、「終活の一環」としてさりげなくテーマを切り出すことができれば、気軽に話を始めやすくなります。

相続の可視化と備えが安心の鍵

実際に相続が起こったとき、悩む人が多いのが、財産の全体像が見えないという課題です。

銀行口座の通帳、土地建物の権利証、保険契約の証書、借用書や借入関係の書類などが別々の場所に置かれていたり、家族に知らされていなかったりするケースが岡崎市でも多々あります。

このような事態を避けるためには、財産目録の作成が大きな効果をもたらします。

財産一覧とは、財産の内容・保管場所・評価額などを一覧にまとめたもので、相続処理を迅速にするだけでなく、遺言とあわせて活用することで本人の意向をはっきり示す助けになります

同時にやっておきたい準備:

  • エンディングノートの活用(資産や意向を記載する)
  • 遺言の作成と保管(不動産相続がある場合は重要)
  • 家族関係の法的確認(戸籍謄本や家系図の作成)
  • 信頼できる士業の選択

これらの取り組みを制度的に家族信託として整える流れが広がっており、意思決定ができるうちに、財産の引き継ぎ体制を構築する手法として岡崎市においても注目を集めています。

「うちは平気」と油断せずに、早めの準備を

相続トラブルの大半は、実は「税額が想定以上だった」といった税金に関する問題ではなく、「感情の行き違い」や「情報不足」が原因で起きています。

  • 長男が親の面倒を見ていたのに正当に評価されなかった
  • 誰かが預金口座を管理していて疑念を抱かれている
  • 法律の知識が乏しいまま、勝手に手続きを進めた

そのような誤解が、築いてきた関係を傷つけ、本来の相続が争いの場になるという現実があります。

そのためにも、「うちは財産が少ないから」「兄弟仲がいいから大丈夫」という思い込みが最も危険です。

少しの備えが大きな安心につながると受け止めて、できる範囲から始めることが大切です。

相続は遠い話ではなく「いまから始まる備え」

この記事では、相続に関する基礎知識から実務的な手続きや法律改正、税金、気持ちの整理まで、多岐にわたる内容を紹介しました。

遺産相続は決して限られた人の問題ではありません。

どの家庭にも、いつか必ず訪れる現実であると言えるでしょう。

いざそのときに、家族が慌てずに、安心して前を向けるように。

今すぐ可能なことを、無理のない範囲から取り組んでみてください。

たとえば:

  • 手元にある預金通帳や不動産のデータを把握しておく
  • 家族との間で相続に関する会話を自然な形で話す機会を設ける
  • 無料の相談サービスを使って、相続税や手続きの疑問を専門家に聞いてみる
  • 「いずれやるつもり」ではなく、「今日のうちに10分だけ資料を見る」

このようなちょっとした行動が、相続で失敗しない最初の小さな行動です。